2006-03-17 20:03:00
エスティマ [ トヨタ ]
エスティマ (Estima)は、トヨタ自動車が生産する大型の高級ミニバンである。
初代は1990年に発売され、その卵をイメージさせる未来的なスタイルで注目を集めた。従来のワンボックスカーでは前輪前・運転席下に位置しているエンジンを、横に75°寝かせることにより低床化に成功、前輪も運転席の前方に置くことにより世界にも例を見ないミッドシップレイアウトが採用された。また商用グレードを用意せず、サスペンションも前軸はマクファーソンストラット式、後軸はダブルウィッシュボーン式の4輪独立懸架を採用するなど、当時のワンボックスカーの常識を超えた存在感が個性的であった。もともとのコンセプトは当時トヨタが開発中であった2ストロークエンジンを搭載する予定で、このことでエンジンルームをコンパクトにまとめることが出来る計算であった。しかし不幸にも開発に失敗し、卵形のシャーシだけ残ったため、一般的な2.4Lエンジンを傾斜搭載することで何とか日の目を見た企画であった。驚きを持って迎えられたエスティマであったが、日本国内ではその大柄なボディサイズが扱いにくいとされ、また欧米では2.4Lエンジンが非力な上高価だと言う理由で支持を得ることが出来なかった。それでもエスティマは、独創的なスタイル、メカニズムで良い意味でトヨタらしからぬ車であった。
当時の国内では、1991年6月に発売された、日産・バネットセレナが発売されて人気を博していた。対抗馬としてのエスティマは大柄すぎた為、1992年には車幅を短縮、前後バンパーのデザインを変更させて小型の「エスティマ・エミーナ(Estima Emina)」(トヨタ店取り扱い)、「エスティマ・ルシーダ(Estima Lucida)」(カローラ店取り扱い)を発売した。一般的には、大型のエスティマを「親・エスティマ」(ワイドエスティマと呼ぶこともある)、エミーナ/ルシーダを「子・エスティマ」と呼んで区別している。ボディを小型化したことに合わせて内装を親エスティマのイメージを損なわない程度にコストダウンしている。また、シャーシは上級グレードを除く主力・普及グレードには欧米・オセアニア向けの4リンク・ラテラルロッド式リアサスペンションが採用されている。これらのコストダウン策にもかかわらず、子エスティマの価格はお世辞にも安いとは言えなかった。それでも旧来のキャブオーバー式のワンボックスカーに違和感を感じていた層にとっては、スタイリッシュな子エスティマは爆発的なヒットを記録することとなった。しかし、巨額の開発費をかけた割に利益率は低くなかなかモデルチェンジが出来ず、モデルライフ後半ではタウンエース/ライトエース・トヨタノアに主力のバトンを明け渡すことになってしまう。
親エスティマの方は、子エスティマのデビュー後にオセアニア仕様を転用したXグレード(1994年8月 8人乗りベンチシート・リジッドリアサス仕様)を投入するも販売は今ひとつであった。特に動力性能への不満が集中していたために、1996年8月スーパーチャージャーで過給したエンジンに換装したが、今度は燃費に関しての不満に悩まされることとなる。この時から標準仕様(ベースグレード)はGグレードとなり、Xグレードのスーパーチャージャー付をVグレードとした。また、モデルライフ途中に親エスティマは一度だけ大きなマイナーチェンジを受け、1998年1月エアロパーツをまとった「アエラス」を投入するなどしたが、1994年ホンダ・オデッセイの登場により、売り上げが低下した。(※オデッセイもエスティマと価格がほぼ同じぐらいである。)Xグレード(NAエンジン)は廃止になりVグレード(SC付エンジン)に変更、全グレードSC付になった。しかしこの頃から街中の燃費は今までどうりだが、高速走行などでは、燃費向上が図られており、10年排気ガス規制に伴い型式もEからGFに切り替わっている。 実際の販売状況は、エンジンルームの狭さゆえにエンジンの大型化に対応できず、オデッセイやエルグランドをはじめとするライバルが3Lや3.5Lと移行する中、苦戦を強いられた。北米仕様はこのモデル一代限りで、シエナに後を譲った。
初代エスティマに関して振り返ったが、そもそものコンパクトな2ストロークエンジンを搭載した新時代のMPV(マルチパーパスビークル)というコンセプトの肝であるエンジンが完成しなかったために、エスティマは非常に不幸なモデルライフを送ることとなってしまった。販売台数を稼いでくれた子エスティマでは前席足元スペースが狭く、その乗り味も本来の親エスティマが持っていた大らかな乗り味ではなく、ミッドシップを強調するキビキビ感が強調された味付けになっていることから、開発陣が目指したいたものとは違う方向にそれてしまったし、戦略上そうせざるを得なかった。だが、現在では中古車市場でカスタムベースとして人気を保っている。また、大らかな乗り味とバランスの良いボデー、ミニバンを忘れさせるような運転のしやすさに中々手放さないオーナーが多いのも事実である。
初代エスティマの失敗に懲りたトヨタは、新しいカムリ系のFFシャーシを用いた非常に収益性の高いモデルとしてエスティマをモデルチェンジさせることにつながった。
エスティマの中古車情報